慢性副鼻腔炎に対する手術(ESS)
― 内視鏡下副鼻腔手術 ―
慢性副鼻腔炎とは
慢性副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)に炎症が続くことで、
- 鼻づまり
- 鼻水・後鼻漏
- においが分かりにくい
- 顔面の重だるさ、頭重感
などの症状が、3か月以上続く病気です。
多くの場合、まず薬物治療が行われますが、十分な改善が得られない場合には、手術治療が選択肢となります。
副鼻腔


内視鏡下副鼻腔手術(ESS)とは

- 顔に傷はつきません
- 病変を拡大視野で確認しながら行います
- 炎症の程度や範囲により手術内容は異なります
ESSによって副鼻腔の換気や排泄を改善することで、
炎症を起こしにくく、薬物治療が効果を発揮しやすい環境を整えることを目的としています。


ESSの位置づけについて
ESSは、一度の手術ですべての症状が完全になくなり、その後再燃しない、という性質の治療ではありません。
手術によって、
- 炎症が落ち着きやすくなり
- 症状が軽くなる
- 再燃した場合にも対応しやすくなる
といった効果が期待されます。
手術後の薬物治療や定期的な診察と組み合わせて治療を行うことが大切です。
当院におけるESSの基本方針
当院では、
- 病変の範囲が比較的限局している
- 手術時間が過度に長くならない
- 局所麻酔に鎮静薬を併用することで安全に行える
このような慢性副鼻腔炎を対象として、日帰りでのESSを行っています。
鎮静薬を使用することで、多くの方はほぼ眠ったような状態で手術を受けていただけます。
手術時間と麻酔について
ESSの手術時間は、
片側でおおよそ30分~1時間程度が目安です
(病変の範囲や内容により前後します)。
- 局所麻酔を基本とし
- 必要に応じて鎮静薬を併用
することで、手術中の痛みや不安をできるだけ抑えています。
ESSと同時に行うはなの手術について
ESSを行う際には、副鼻腔の手前にある鼻腔の形態が、
- 術前の鼻閉症状
- 手術操作の安全性
- 術後の換気・排泄
に大きく影響します。
そのため当院では、必要と判断した場合に、
- 鼻中隔矯正術
- 粘膜下下鼻甲介骨切除術
をESSと同時に行うことがあります。
これは、
- 内視鏡視野を確保し、安全に手術を行うため
- 術後の鼻づまりをできるだけ残さないため
- 治療効果を長期的に保つため
といった点を考慮した判断です。
ただし、形態的に明らかな問題がない場合には、これらの手術を追加することはありません。
日帰り手術と1泊入院について

当院ではESSを原則日帰り手術として行っていますが、
- 患者さんのご希望
- 手術内容
- 術後の経過や全身状態
などを考慮し、
提携病院で術後1泊入院とすることも可能です。
入院・全身麻酔が望ましいケースについて
慢性副鼻腔炎の中には、
- 炎症が高度で広範囲に及ぶ(特に重症の好酸球性副鼻腔炎)
- 手術時間の延長や出血量の増加が予想される
- 過去に副鼻腔手術を受けており、再手術となる
といったケースがあります。
このような場合には、
- 全身麻酔
- 術後管理を含めた入院治療
の方が、より安全で確実な治療につながると考えられます。
上記のように判断した場合、当院では無理に日帰りESSを行わず、
入院・全身麻酔が可能な総合病院・専門施設をご紹介する方針です。
術後の経過と治療について
術後しばらくは、
- 鼻内の腫れ
- 一時的な鼻閉感
- 鼻汁の増加
がみられることがあります。
ESSは手術後の処置や薬物治療を含めて経過をみていく治療であり、回復の程度や症状の改善には個人差があります。
合併症・注意点
ESSに伴う合併症として、以下の可能性があります。
- 出血、感染
- 術後癒着
- 症状が十分に改善しない、再燃
また、副鼻腔は
- 眼窩(目の周囲)
- 頭蓋底(脳との境界)
- 嗅覚を司る部位
に隣接しているため、非常にまれではありますが、
- 眼の周囲の腫れや違和感、視機能への影響
- 脳脊髄液漏
- 嗅覚障害
などが起こる可能性があります。
手術の適応は、画像検査や内視鏡所見をもとに慎重に判断します。
ESSを検討されている方へ
慢性副鼻腔炎の治療には、
- 薬物治療
- 鼻うがいなどの自己ケア
- 手術治療
といった選択肢があります。
多くの場合、まずは薬物治療や自己ケアによる治療を行いながら経過をみることが基本となります。
そのうえで、症状の程度や治療への反応、画像検査の結果などを踏まえ、
手術が必要かどうかは当院で医学的に判断します。
当院では、
「手術を行うかどうか」も含めて丁寧にご説明し、患者さん一人ひとりの状態に合った治療方針をご提案します。
まずは外来でご相談ください。