鼓膜切開術・鼓膜チューブ留置術
― 中耳にたまった液体を排出し、耳の環境を整える治療 ―
中耳に水がたまる病気

耳の奥には「中耳」と呼ばれる空間があります。この部分に液体がたまる状態を 滲出性中耳炎 といいます。
主な症状として
- 聞こえにくい
- 耳が詰まった感じ
- 音がこもって聞こえる
- 小児では呼びかけに反応しにくい
などがあります。
多くの場合は自然に改善することもありますが、液体が長期間残る場合には治療が必要になることがあります。
治療の基本方針
滲出性中耳炎の治療には
経過観察
薬物治療
鼓膜切開術
鼓膜チューブ留置術
といった選択肢があります。
まずは保存的治療や経過観察を行い、改善が十分でない場合に手術を検討します。
すべての方に手術が必要となるわけではありません。
鼓膜切開術
鼓膜切開術は、鼓膜に小さな切開を行い、中耳にたまった液体を排出する手術です。
これにより
- 中耳の圧力が改善する
- 聞こえが回復しやすくなる
- 耳の詰まり感が軽減する
といった効果が期待できます。
ただし、鼓膜の切開部は自然に閉じるため、液体が再びたまることがあります。
鼓膜チューブ留置術
液体が繰り返したまる場合には、鼓膜に小さなチューブを留置する方法があります。
チューブには
- 中耳の換気を保つ
- 液体がたまるのを防ぐ
という役割があります。
チューブは通常、数か月から1年程度で自然に脱落することが多く、鼓膜も自然に閉じることがほとんどです。
手術について

手術は日帰りで行うことができ、通常は数分程度で終了します。
当院では鼓膜の表面に薬剤を作用させるイオン麻酔(鼓膜表面麻酔)を使用し、
できるだけ痛みを抑えて処置を行います。
小児の場合には、年齢や症状、協力度などを考慮しながら治療方法を検討します。
術後の経過について
手術後は
- 一時的な耳だれ
- 軽い違和感
がみられることがありますが、多くは数日で落ち着きます。
また、手術の際に中耳の液体を吸引することで一時的に軽いめまいを感じることがあります。
通常は短時間で改善することがほとんどです。
チューブ留置後は、定期的な診察でチューブの状態を確認します。
合併症・注意点
すべての医療行為と同様に、以下の可能性があります。
まれに
- 出血
- 感染
- 耳だれの持続
- チューブ脱落後に鼓膜穿孔が残る可能性(まれ)
必要に応じて適切に対応します。
鼓膜切開・チューブ治療を検討されている方へ
滲出性中耳炎の治療では、
- 自然に改善する可能性
- 聴力への影響
- 症状の持続期間
などを総合的に考慮することが重要です。
当院では、
- 経過観察でよいのか
- 手術を行うべきか
を医学的に判断し、患者さん一人ひとりに適した治療をご提案します。
まずは外来でご相談ください。